コラム

【DUO プロジェクト 2023】竹澤恭子さんからのメッセージ

2023.10.08

DUO プロジェクトでコーチを務めていただいているヴァイオリニストの竹澤恭子さんからメッセージをいただきました。世界で活躍していらっしゃる竹澤さんが、なぜ演奏家にとって「ソナタ」を学ぶことが重要だと考えていらっしゃるのか。どうぞご一読ください。

公開リハーサルの様子

 
昨年から始まりましたMusic Dialogue の新企画Duo Projectに参加させていただき、2シーズン目を迎えたわけですが、一回一回セッションを重ねるごとにアンサンブルの基本である「ソナタ」の重要性を噛み締めております。

この基本を学ぶことにより、どれだけ音楽解釈への理解が深まり、音楽表現の説得性や可能性が無限大に広がるかを実感しております。その事は自分自身がこれまで多くのアーティストの方々と様々なレパートリーを共演していくという経験の中で沸々と感じており、これからもまた思考錯誤を重ねながら探求していくことであります。

日本の大学で教え始めるようになった昨今、日々の勉強の中でソナタに取り組むという環境が持ちにくいということも、そして、生徒自身がその重要性を感じていないことも痛感しております。それは、どうしてもソロのレパートリーや楽器演奏の技術を習得することに固執してしまう事だったり、ピアニストと共演できる機会が学校のシステム上、極力少ないということにも要因があるかと思います。

ソナタを演奏するということは、作曲家が作品にこめた意図を理解し、二つの楽器がどのように絡み合って一つの音楽を形成していったらよいのかを見極めなければなりません。そのためには共演者の息遣いや音楽表現を全身で感じ取れるような耳を育てなくてはならないですし、それに対して、自分がどの様にリアクトすべきかを判断し、そしてリアクトできる繊細な感覚やそれを表現するための技術の支えも必要不可欠になってくるのです。

このソナタを勉強することによって得られる学びは、逆にソナタ以外のどのような形のアンサンブルでも、またソロやコンチェルト、小品に至るまで、全ての音楽創りの世界感を変えてくれるぐらい大切な事だと思っています。

第2回目を迎えるこの度のDuo Project のセッションでは、フレッシュな才能溢れる水越菜生さんと白瀬元さんが、宝の山のような経験をお持ちの素晴らしいアーティスト大山、上田両先生方から浴びるような刺激を受けながら、どのように変化し、探求されていくかをどうぞ見守っていただきたいですし、これは私自身にとっても学びの場、インスピレーションを得る貴重な機会と思って臨んでおります。その集大成となります11月10日のコンサートを是非楽しみにしていただけましたら嬉しいです。

このセッションを経て、若き2人が、どのようなアーティストに育っていくのか、私も楽しみにしております。      
                                
                                竹澤 恭子(ヴァイオリニスト)

【DUO プロジェクト2022】 本公演

竹澤恭子先生のフルバージョンのプロフィールはこちらからご覧ください。

【DUO プロジェクト 2023】 これまでの歩み|Music Dialogue(ミュージックダイアログ) (music-dialogue.org)


Duoプロジェクト2023】 本公演

日時2023年11月10日(金) 19:00開始(18:30開場)
会場Hakuju Hall(代々木公園駅)
演目ラヴェル     ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第2番 M.77
ブラームス    ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第2番 イ長調 作品100
サン=サーンス  ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第1番 ニ短調 作品75
出演水越 菜生、白瀬 元、竹澤 恭子、上田 晴子
料金一般 S席 6,000円 A席 5,000円 B席 4,000円
学生 2,500円

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