【ディスカバリー・シリーズ 7月公演 演目について①】

2022.06.21

実力ある演奏家たちが室内楽の魅力を追求する
ディスカバリーシリーズ。
2022年夏は7/1にメンデルスゾーンとドビュッシーの作品がとりあげられます。
両演目について、その魅力を解き明かすべく定期的にMDプロジェクトチームからお届けします!


7月1日のMusic Dialogueディスカバリーシリーズ演奏会では、フェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)の弦楽五重奏曲 第2番 変ロ長調 作品 87が演奏されます。
まずはこの作品に関して、メンデルスゾーンの描いた絵画や、他の画家の作品との関連から探ってみたいと思います。 (参照:画像①)

西洋音楽は、しばしば文学や美術など他の芸術と結びつけられてきました。ムソルグスキー《展覧会の絵》や、北斎の浮世絵の影響を受けたドビュッシー《海》はその好例です。なかには絵画に着想を得るだけでなく自ら絵を描いた作曲家もいました。シェーンベルクやメンデルスゾーンです。 (参照:画像②)

メンデルスゾーンは演奏旅行などで欧州各地を訪れたさい、当地の自然や都市の風景を絵に描きとめました。そうした彼の風景画をいくつか、同時代の画家による作例とともに見てみましょう。たとえばこれらの2枚は、情景を優れた洞察力と構成力で捉えた作品といえます。 (参照:画像③④)

メンデルスゾーンが作品を目にしていたと考えられる画家のひとりに、今日風景画の巨匠として知られるウィリアム・ターナー(1775-1851)がいます。ターナーの風景画には、単なる風景の再現ではなく、雲や波といった自然が躍動するドラマティックな表現、自然に対する畏怖の感情が伺えます。 (参照:画像⑤⑥)

メンデルスゾーンはまた、同世代のデュッセルドルフの画家ヨハン・ヴィルヘルム・シルマー(1807-1863)から水彩画のレッスンを受けています。渓谷の風景を描いたこのシルマーの絵にみる優れた風景画家としての色彩感や写実的な表現からも、メンデルスゾーンの絵に及ぼした影響も感じられます。 (参照:画像⑦)

メンデルスゾーンのほか、アカデミーの教師であったシルマーの教え子には、のちに音楽と美術の両分野でも知られることになる一人の画家がいたことは見過ごせません。次回は、その画家と再びメンデルスゾーンについてみていきたいと思います。どうぞお楽しみに! (参照:画像⑧)


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