コラム

【ディスカバリー・シリーズ7月公演に向けて】芸術監督 大山平一郎より

2022.06.18

Music Dialogue音楽監督の大山平一郎より、今回のプログラムについてのメッセージをご紹介いたします。作品の背景や、自身の曲への思い入れなどを寄せています。
ぜひ、皆様ご一読ください!

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次回ディスカバリーシリーズの演目について、私の思いを少しだけ書かせていただきます。

クロード・ドビュッシーは、長年音楽芸術の発展を主導してきたドイツ・オーストリア派に一石を投じた作曲家です。
彼の推し進めた改革は、弦楽四重奏を発表した1893年頃を境に、その後の作曲界に大きな光を与えます。そして20世紀に入ったとたんに音楽芸術界は他の芸術分野と共に、大きな変革を形成していきます。この曲には作曲家が新しいものを創るために“意識を変えた”作曲技法とその哲学の道標が多く秘められており、次世代を背負っていく若き奏者たちに、この音楽芸術の潮流を深く知っていただければと云う想いで、この曲を選定いたしました。

また今回私が若い演奏者たちと共演する、メンデルスゾーンの弦楽五重奏曲は私の音楽人生上、とても大切な位置を占めています。
プロフェッショナルな演奏家として人生を送るには、どの様なレベルの読譜力、演奏技術、音楽演出力を持ち合わせていなければならないかを教えられた、一生記憶に残るような強烈な思い出があります。音楽の基本を学び、楽器を弾く技術向上に専念した25年間が終わり、次の25年間にむけての門出になった曲とも言えます。
それは私がマルボロ音楽祭に2回目の参加(1973年)を終え、“Music from Marlboro”(マルボロ音楽祭が全米にいくつかのグループを派遣するツアー)に参加することになった時に演奏した曲でした(*)。当時、若手のヴァイオリニストとして世界レベルで大活躍していたJaime Laredo氏とこのツアーで共演し、得たことが、その衝撃的な体験内容の大半なのですが、更に、その強烈な演奏力についていく私の同僚たちの努力を目の当たりにしたことも、今後自分がプロ演奏家としてどのように成長しなければならないかを教えられる経験となりました。 最近になってようやく日本でも演奏されることが増えてきたこの名曲を若い奏者たちに紹介するとともに、私の当時の思いと願いを重ねて、この曲を選定しました。

公開リハーサルや演奏会の後のダイアローグで皆様と対話できるのを楽しみにしております。

大山平一郎

*演奏旅行後に録音された音源です。
Mendelssohn, String Quintet no.1 in A Major, op.18
https://www.youtube.com/watch?v=WFDcQf-BEzY

Mendelssohn, String Quintet no.2 in B flat Major, op.87
https://www.youtube.com/watch?v=wPAJ1XwiW70

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○字幕実況解説付き公開リハーサル
【日時】6月27日(月) 19:00開始
【会場】中目黒GTプラザホール (中目黒駅南口よりすぐ)
【料金】一般 2,000円、学生 500円
【曲目】
メンデルスゾーン:弦楽五重奏曲 第2番 変ロ長調 作品87
【お申込み】
https://passmarket.yahoo.co.jp/…/…/detail/02jwai42k0421.html

○本公演
【日時】7月1日(金)19:00開演
【会場】めぐろパーシモンホール 小ホール
【料金】一般 4,000円、学生 2,000円
【曲目】
ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 作品10
メンデルスゾーン/弦楽五重奏曲 第2番 変ロ長調 作品87
【出演】福田麻子(Vn.)、前田妃奈(Vn.)、中村詩子(Vla.)、大山平一郎(Vla.)、水野優也(Vc.)
【お申込み】
https://www.persimmon.or.jp/…/spon…/2022040713380247658.html

大山氏だけでなく、ゼルキン、ミリアム·フリード、ヨーヨー・マなどがいます

Jaime Laredo氏と共演した際のCDジャケットです

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