弦楽アンサンブルについて~ 田原綾子さん・芸術監督 大山平一郎 のダイアログ~

2026.01.30

2026年3月のディスカバリー・シリーズ シーズン・フィナーレで取り上げる弦楽アンサンブルについて、Music Dialogueアーティスト/ヴィオラの田原 綾子さんと、MD芸術監督 大山平一郎にお話を伺いました。
2024年7月に開催した「Music Dialogue10周年記念コンサート」での弦楽アンサンブルの振り返りから、室内楽とオーケストラの違い、指揮者としての作曲家の理解など、幅広くお話しいただきましたが、実はキーワードは繋がっているようでした。

2024年7月の10周年記念コンサートでは、MDはじめての試みとして、いつもの室内楽の編成より大きい19人の弦楽アンサンブルをおこないましたが、いかがでしたか? 

田原)すごく楽しかったです。いつも一緒に弾いている大山先生が指揮をしている姿が新鮮でした。MDアーティストやいつも一緒に演奏している仲間の大山先生へのリスペクトや、信頼・愛情で、化学反応が起こっている気がして、暖かい時間でした。

お客様からも「感動した」の感想が多く届きました。演奏者の皆さんが幸せそうに弾いている姿が印象的でした。3月1日のシーズン・フィナーレも、1部がDUOと室内楽、2部が弦楽アンサンブルというプログラムですね。Music Dialogueで弦楽アンサンブルを取り上げる意図はありますか?

大山)弦楽器奏者は通常他の人と一緒に曲を弾くことが多いので、「合奏」の技術を身につけないといけません。音楽のジャンルとして、室内楽より大きなものはオーケストラ、となりますが、室内楽からオーケストラにいきなり行くと戸惑う方が多いと思います。室内楽とオーケストラの中間、つまり10~25人規模の弦楽アンサンブルの曲はたくさんあるのですが、日本でも海外でも演奏機会が少ないのが現状です。
演奏家が室内楽ができるのというのは基礎として大切ですが、よいオーケストラを作ろうと思うならば、その中間にある弦楽アンサンブルの習得は、よい勉強になると思います。
3月公演の弦楽アンサンブルでは、グリーグ、ブリテン、エルガーの3曲を取り上げます。今回のエルガーは特に演奏機会が少ない曲です。なぜかと言うと、それは難しいからです。でも、とても素晴らしい曲です。楽しみにしてください。


田原さんにとって、Music Dialogue アーティストの仲間はどういう存在ですか? 共演して学びあう以上に特別な何かはありますか?

田原)私はヴィオラが大好きで、室内楽が楽しくて、室内楽を活動の中心としてきました。室内楽に比べるとオーケストラでの経験が少ないため、以前トップでよんでいただいたときには大変さもありましたが、その後少しずつオーケストラの経験も増え、楽器の編成が増え音楽が多彩になるおもしろさを、感じるようになってきました。
オーケストラの現場に行った時に、そこにMDアーティストが居合わせると、「仲間がいた!」という安心感があります。そして、必ず大山先生の話になります。リハーサルの場では、「先生はこういう時、こうおっしゃってた」という話になり、そこにいなくてもいるかのように盛り上がったりします。「共通の価値観」で繋がっているような感じがあります。

大山)僕は、楽譜に書かれているその後ろにある作曲家の意図を説明しているつもりなんです。指揮者の役目としてこの曲をどう解釈して、どういう風に演奏するか、その設計図を示しで、奏者が同意してくれれば同じ方向に向いた、よい演奏になる。
音楽を大きく見て、根本的な部分を、自分が先代から受け継いできたものを、次の世代に伝えていきたいと考えています。
作曲家にはそれぞれの言葉遣い、語法があります。そして、ほとんどの作曲家は「交響曲」を最終目的としているので、交響曲を理解してやっとその音楽全体がわかるとも言えるでしょう。

大山芸術監督は指揮者的な発想や視点があるからこそ、指導や育成の現場で出てくる言葉の意味が深く広がりがあるように感じます。田原さんも2023年に室内楽塾の講師を担当されました。MDアーティストからさらにその次の世代への継承も始まっていますね。

 2026/1/18 第2回寄付者イベント(園田邸にて)


田原 綾子【ヴィオラ】

第11回東京音楽コンクール弦楽部門第1位及び聴衆賞、第9回ルーマニア国際音楽コンクール全部門グランプリを受賞。読売日響、東京交響楽団、東京フィル等と共演、室内楽奏者としても著名なアーティストと多数共演している。
桐朋学園大学音楽学部、パリ・エコールノルマル音楽院を経て、2019年10月より、デトモルト音楽大学にてファイト・ヘルテンシュタイン氏のもと、更なる研鑽を積む。桐朋学園大学院大学特待生。2015年度宗次エンジェル基金奨学生、2015、2016年度ロームミュージックファンデーション奨学生、第47回江副記念財団奨学生、2019年度明治安田クオリティオブライフ文化財団海外留学研修生、Music Dialogueアーティスト。サントリー芸術財団よりPaolo Antonio Testoreを貸与されている。


ディスカバリー・シリーズ 2025-2026 シーズン・フィナーレ

○字幕実況解説付き公開リハーサル
【日時】2026年2月27日(金) 18:30 開始(18:00 開場)
【会場】めぐろパーシモン小ホール
【曲目】グリーグ  ホルベアの時代から(ホルベルク組曲) 作品40
    ブリテン  シンプル・シンフォニー 作品4
    エルガー  序奏とアレグロ 作品47
【解説】小室 敬幸(作曲、音楽ライター)

○本公演
【日時】2026年3月1日(日) 15:00 開演(14:30 開場)
【会場】Hakuju Hall
【曲目・出演】
ー 第1部:DUO・室内楽 ー
コダーイ  ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 作品7
 矢野 玲子(ヴァイオリン)/ 笹沼 樹(チェロ)
ボロディン  弦楽四重奏曲 第2番 ニ長調
 土岐 祐奈(ヴァイオリン)/ 伊東 真奈(ヴァイオリン) / 中 恵菜(ヴィオラ)/ 加藤 文枝(チェロ)

第2部:弦楽アンサンブル ー
グリーグ  ホルベアの時代から(ホルベルク組曲) 作品40
ブリテン  シンプル・シンフォニー 作品4
エルガー  序奏とアレグロ 作品47
      ソロ四重奏団:石上 真由子・伊東 真奈・田原 綾子・金子 鈴太郎

 指揮:大山 平一郎
 第1ヴァイオリン:水谷 晃・石上 真由子・土岐 祐奈・矢野 玲子
 第2ヴァイオリン:枝並 千花・伊東 真奈・北川 千紗
 ヴィオラ:中 恵菜・田原 綾子・菊田 萌子
 チェロ:加藤 文枝・金子 鈴太郎・笹沼 樹
 コントラバス:永井 桜・瀬 泰幸


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