【ディスカバリー・シリーズ9月公演に向けて】 江崎 萌子さんより

2024.08.21

9月のディスカバリーシリーズに出演されるMDアーティストの江崎 萌子さんからメッセージをいただきました。

 

今年の夏はライプツィヒで過ごしています。基本的にエアコンのないドイツで30度を超える日はなかなか厳しいものですが、そういう日は市内から25分ほどの美しい湖へひと泳ぎしにいく、そんな晩夏の日々です。

さて、シューマンのピアノ五重奏曲もライプツィヒで作曲、ゲヴァントハウスにて初演されました(もちろんピアノはクララで)。1840年代の初め、シューマンがクララの父ヴィークとの壮絶な闘いの末にようやく最愛の人との結婚生活を手に入れて、歌曲や交響曲、室内楽において数々の傑作を生み出していた時期の一曲です。

人生の蜜も辛苦も味わいながらなお誇り高く突き進む疾走感、シューマンらしさ全開の内なる詩情。何よりバッハへの畏敬を感じる第四楽章は、各楽器の対話が限界まで拮抗し、ひとつの揺るぎない建造物を作っていくような感動があります。私が長年憧れつつも演奏機会がなかったこの曲を、今回信頼するアーティストの方々と演奏できることをとても嬉しく思っています。

最近はたと気がつくと、自分が演奏中の曲を書いた作曲家の当時の年齢と、今の私の歳がほぼ同じ、なんてことがよくあるのですが、この五重奏もご多分に漏れず、、一体人生を何周したらこんな楽想が生まれるのだろうとついため息が出てしまいますが、せめて彼らが描きたかったものに深く共感し再現できれば、と思うこの頃です。

26日の公開リハーサルでは、あるオオモノアーティストが字幕解説を担当されるとかされないとか…!?まだまだ熱き日々となること間違いなしの9月最終週、皆様にお会いできるのを心から楽しみにしています。

江崎 萌子(ピアニスト)


江崎 萌子 EZAKI Moeko【ピアノ】
2019年第8回ヴェローナ国際コンクール(イタリア)第2位およびクラシックソナタ賞、女性演奏家賞受賞。
第26回エピナル国際コンクール(フランス)第4位、オーケストラ賞、現代曲賞受賞。
国内では第80回日本音楽コンクールピアノ部門入選、第4回東京ピアノコンクール一般部門第2位、第2回桐朋ピアノコンペティション第1位などの受賞歴を持つ。パリ・フィルハーモニー大ホールにてパリ管弦楽団プレリュードコンサートのソリストを務めたのをはじめ、日本、フランス、ドイツを中心に演奏活動を行う。

       


※ディスカバリー・シリーズ9月公演は、公開リハーサル・本公演ともに、完売しております。

○字幕実況解説付き公開リハーサル
【日時】9月26日(木) 19:00開始  (18:30開場)
【会場】中目黒GTプラザホール (中目黒駅南口よりすぐ)
【曲目】シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品444
【出演】江崎 萌子(Pf.)、北川 千紗(Vn.)、 石上 真由子(Vn.)、 中 恵菜(Vla.)、 加藤 文枝(Vc.)
【解説】大山 平一郎(芸術監督)、小室敬幸(作曲、音楽ライター)

○本公演
【日時】9月29日(日)17:00 開演(16:30 開場)
【会場】築地本願寺 講堂(聞法ホール2F)
【曲目】
 シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品444
 ブラームス:弦楽五重奏曲 第1番 ヘ長調 作品88
【出演】石上 真由子(Vn.)、 北川 千紗(Vn.)、 中 恵菜(Vla.)、大山 平一郎(Vla.)、 加藤 文枝(Vc.)



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