Music Dialogue創立10周年記念CD「ブルックナー&ミヨー/ミュージックダイアログ・アンサンブル」の予約受付がスタートします。
「まだ世に紹介されていない隠れた名曲を、演奏家にも、聴衆にも広めたい」
芸術監督大山平一郎の強い想いから、米国や日本でかねてより大切に取り組んできた『ブルックナーの弦楽五重奏曲』と『ミヨーのピアノ五重奏曲《世界の創造》』という全く知られていない2曲をCD収録しました。
Music Dialogue創立10周年記念、ブルックナー生誕200年・ミヨー没後50年記念企画のこの年に、みなさまにクラウドファンディングで応援いただき、リハーサル・録音・編集と進めてきました。
収録曲
■ブルックナー:弦楽五重奏曲 ヘ長調 WAB112
ヴァイオリン:石上真由子、水谷晃
ヴィオラ:村上淳一郎、大山平一郎
チェロ:金子鈴太郎
■ミヨー:バレエ音楽「世界の創造」 Op. 81b(ピアノ五重奏版)
ヴァイオリン:水谷晃、石上真由子
ヴィオラ:大山平一郎
チェロ:金子鈴太郎
ピアノ:吉見友貴
ディスカバリー・シリーズ 9月公演 等の イベント会場で販売いたします。
ブルックナー作曲『弦楽五重奏曲』とは
今年2024年は、オーストリアの偉大な作曲家、アントン・ブルックナー(1824-1896)の生誕200年です。ブルックナーはオーケストラ作品で有名な作曲家ですが、1879年にこの弦楽五重奏曲を作曲しました。彼にしては珍しい室内楽作品ですが、交響曲やオルガン曲の作曲家としての個性が強く表れており、時に室内楽の範疇を超えた響きを聴かせてくれる名曲です。しかしながら、演奏機会が非常に少なくあまり広くは知られていないのです。
大山は、1975年のマールボロ音楽祭(米国)にて、世界を代表する音楽家たちと共にこの曲を学び演奏を重ねてきました。素晴らしいメンバーとこの曲を勉強したことが大山の記憶に強く残っており、「それを若い人たちにも伝えたい」と言います。通常、若手音楽家たちがブルックナーを学生時代に学ぶ機会はあまりなく、オーケストラに入ってから初めて触れることが多いのですが、ブルックナー作品に室内楽から取り組んだ大山は、
「良い演奏のためには作曲家それぞれの音をよく理解する必要があるし、それを魅力的だと思ってもらえればその作曲家を聴きたいと思う聴衆も増える。その入口が室内楽でも良いのではないか?」
そのような熱い想いを持ち、かねてよりこの作品に積極的に取り組んできたのです。
そこに組み合わせる、ミヨー作曲『バレエ音楽《世界の創造》ピアノ五重奏版』
フランスの作曲家ダリウス・ミヨー(1892-1974)が、元々は室内合奏のために1923年に作った曲を、ミヨー自身がピアノ五重奏用に編曲した作品です。クラシックといえば、ドイツやウィーンなどの作曲家の影響が色濃かった中、フランスではフランス精神の宿った音楽を作ろうという動きが高まっていました。そうした音楽を代表する作曲家から影響を受けていたミヨーは、1920年頃からジャズに魅せられ研究を続け、その成果として完成したのが、この「世界の創造」です。この曲も名曲にも関わらずほとんど演奏されることはありません。
〜正反対とも言える2曲を組み合わせる意味〜
この2曲を聴いてみると、あまりに趣向が違っているので一見チグハグな組み合わせに思えるかもしれません。けれど違いすぎるからこそわかることがあるのです。
ブルックナーとミヨーの生きた時代を合計すると150年(そのうち重なっていたのは4年間)。この2曲の作曲の隔たりは約44年あります。
「典型的なドイツ音楽の賜物から、民族色豊かな国民楽派の音楽が生まれてきた、
その150年間の音楽の変遷を感じていただけるはず。」
そう大山は語ります。長い歴史で見ると150年は短いのかもしれないけれど、たくさんの新しいものや進化が生まれてきたということがお分かりいただけるのではないでしょうか。